トヨタ自動車の志望動機の書き方を考えてみた
トヨタと言えば国内トップクラスの企業グループであり、日本経済会の顔でもあります。グループで多くの社員の求人を行っていますが、多くの志望者が殺到するために常にその競争率は高い水準をキープしています。そんなトヨタへの志望動機を書く時には、考えすぎてしまって失敗する人も少なくありません。
トヨタグループの中でも特に中心になるトヨタ自動車の志望動機を想定しながら、志望動機の書き方を考えてみます。トヨタへの志望動機の書き方がわからない、困ってしまうという人は参考にしてみてください。
トヨタ自動車は世界的な自動車メーカーである
トヨタ自動車が世界的な自動車メーカーであるということはほとんどの人が知っているはずです。そして、日本で非常に大きな企業であることや、プリウスやレクサスをはじめ、様々な人気ブランドを持っていることはよく知られています。
しかし、仕事としてトヨタ自動車を考える際には、そういった消費者目線の好き嫌いではアピールに欠けてしまいます。トヨタ自動車は、言わずとしれた世界のトップ企業のひとつであり、世界的な視点で自動車業界をリードしようという強い使命感があります。
そのため、志望動機でも高い志や、クルマのあり方や人間との関わりなど、より大きな考え方ができる人を求めています。一般的な情報や知識としてのトヨタ自動車を知るだけでなく、トヨタ自動車の考え方を知ることが就職活動では必要不可欠なのです。
トヨタ自動車の志望動機で大事なのは「トヨタらしさ」を知ること
トヨタ自動車の志望動機では、企業研究が大事であることは言うまでもありません。企業の沿革を理解したり、また現在注力している分野などを正しく理解することは、志望動機作成のために非常に役立ちます。
企業研究の際は、社長メッセージや先輩社員の声についても必ず読むようにしましょう。そこにはトヨタ自動車で働く人たちの「トヨタらしさ」が詰まっています。直接的に志望動機の材料にならなかったとしても、トヨタで働く人々の性質が読み取れれば、それは志望動機をどのようにアピールしていけば良いかが見えてくるからです。
企業研究をする目的は、ひとつは企業を知ることです。そしてもうひとつ大事なことがあります。それは、相手に合わせてアピールをするための材料探しです。どんなに優秀で興味深いエピソードに恵まれた人だとしても、就職活動は相手のあるものですので、相手に合わせたアピールが必要不可欠なのです。
トヨタ自動車の志望動機の例文1
「貴社を志望しているのは、環境に配慮した車作りを行っている企業だからです。
地球環境の問題が深刻になっていると言いますが、身に迫っている中でも最近の温暖化の進展や、局所的な大雨や猛暑などは人間の住む環境が大きく変わってきている証でもあります。
現在、新興国において環境破壊が特に進んでいますが、これを止めるためにも、より環境に優しい製品の普及が欠かせないと思います。貴社は世界有数の自動車メーカーで、かつ高い環境技術を持っている企業として世界に環境に優しい自動車を提供できることが魅力的だと思っています。
私は人と車、そして地球環境は共存できると信じています。留学で身に付けた英語力を活かし、世界に貴社のクルマを届けていきたいです。よろしくお願いします。」
トヨタ自動車のイメージのひとつに、ハイブリッド車や低燃費車による環境に優しいクルマがありますが、例文1はそれを志望動機にした例です。
この志望動機の例の場合には、自分の知識や世間一般の情報から環境の変化を訴え、そして世界中に環境に良いクルマを広めることが大事だと主張しています。間違ってはいないのですが、アピールとしては弱いです。その理由は、一般的な情報ばかりでエピソードが作られているからです。本人の経験や体験、企業研究の跡が入っていないため、漠然としたイメージで志望動機が作られているように感じられます。
実際、このような志望動機になっていることは多く、多くの志望者の中で埋もれてしまいます。具体性にこだわってアピールを考えることが重要です。
トヨタ自動車の志望動機の例文2
「貴社を志望しているのは、環境に配慮した車作りを行っている企業だからです。
環境汚染の問題は深刻で、今後は新興国の工業化によって一層環境汚染が進むと言われています。私の実家は福岡にありますが、大陸側からの黄砂やPM2.5などの影響が年々強くなっていると感じます。工業化は悪いことではないですが、環境にも配慮したより良い技術と製品が導入されるべきと感じます。
貴社は世界有数の自動車メーカーで、海外にも多くの工場やマーケットを持っています。環境に優しい自動車や工場を世界中に提供でき、積極的に環境負荷の少ない製品や工場の研究開発に取り組んでいるところに魅力を感じます。
私は人と車、そして地球環境は共存できると信じています。留学で身に付けた英語力を活かし、世界に貴社のクルマを届けていきたいです。よろしくお願いします。」
例文2の志望動機は、最初の例文を多少書き直しています。自分の体験として環境汚染の黄砂やPM2.5の影響が強まっていることを例に出し、今後の新興国の工業化の影響をイメージさせています。また、トヨタの企業の特徴として環境に優しい自動車だけでなく、工場作りにも触れていることで企業研究の跡が感じられるようになっています。
全体として主張は大きく変わっていませんが、具体性が増すだけで説得力も大きく変わってきますので、具体性を出すにはどうしたら良いか何度も考えてみましょう。
トヨタ自動車の志望動機の例文3
「私が貴社を志望する理由は、様々なCSR活動に力を入れている企業だと感じるからです。
私は自動車が好きで、自動車に関わる仕事がしたいと思っていました。他のメーカーもたくさんありましたが、その中で貴社が最も魅力的でした。その理由は、スポーツチームのスポンサー活動や、数々の協賛活動などが行われていて、CSRに気を遣っている企業だと感じられたからです。私はスポーツ好きでよくサッカーやバスケットの観戦に行きますが、様々な施設や設備が貴社から提供されているのを見ますし、名古屋大学に行った際には講堂まで寄付されていることに驚きました。
私はクルマは人間とその社会のためにあるものであり、人間との関わりのない生産や技術には意味がないと思っています。貴社のような、物を作るだけでなく、社会に対し、人々に対して、多くのものを提供している会社で働きたいです。よろしくお願いします。」
例文3の志望動機は、企業のCSR活動を評価し、魅力を感じているという形での例文です。学生はCSRの部分まではなかなか知らないことが多いですが、企業のCSRレポートなどを読むことで多くの情報を得ることができます。特にトヨタは社会貢献意識が高く、CSR活動が盛んな企業です。テーマひとつでも企業研究をしっかり行っていることがわかります。
全体的に自分が主張したいことはしっかり主張できていて良いのですが、企業にとっての自分を選ぶメリットが示せていないため、ややアピールとしては弱く見えます。足りない要素が無いかよく考えながら見直してみると、一層よいものになるでしょう。
トヨタ自動車の志望動機の例文4
「私が貴社を志望する理由は、企業説明会で耳にした「トヨタウェイ」の考え方に非常に感銘を受けたからです。
業界のトップ企業である貴社が「知恵と改善」を大事にし、かつ「人間性を尊重」していることは私にとって驚きでした。改善というのは理論に基づき、機械的に行われるものだと思っていたからです。
私は小学校から大学までずっとバレーボールをしてきてそのように言われたことはありませんでした。機械のように正確に指示を実行することが求められ、知恵や人間性の入る余地がありませんでした。試合をした全国トップレベルのチームが、自由に伸び伸びとプレーしているのを見て驚いたことを、トヨタウェイの説明で思い出しました。
貴社がトップ企業なのは、マニュアルだけでなく人を大事にしてきたからだと私は感じています。私もその中で成長し、営業職として企業や顧客の求めるより質の高い商品・サービスを提供していきたいです。よろしくお願いします。」
4つ目の例は、トヨタには様々な経営哲学、行動哲学がありますが、それをもとにした志望動機です。
こうした理念的な部分に対する共感は、他社に対する明確な差別化になるためあえて他社について触れる必要がありません。また、企業研究をしっかりしてきた証にもなります。
エピソードでは、自分の競技生活において知恵や人間性といった人を大事にする育成がなかったことから、トヨタウェイの考え方に衝撃を受けた内容になっていて、人を大事にする企業風土に魅力を感じていることがわかります。
ずっとバレーボールをしてきたというエピソードからも持久力をもって物事に取り組めるタイプで、体力もありそうですから、営業職として期待できそうだとイメージも持ちやすく評価されるでしょう。
志望動機を書く時に「知ったかぶり」は禁物
トヨタ自動車など、トップ企業のエントリーシートや面接では、自分の知識や熱意をアピールしようと中途半端な知識をたくさん書く人がいます。しかし、そういった「知ったかぶり」はリスクしかありません。
まず、自分が正しいと思って伝えた内容が間違っていることがあります。情報が間違っているかもしれませんし、使い方が間違っていることもあります。間違った内容を述べている場合にはそれだけ評価も下がるものと考えるべきです。
また、志望動機に限って言えば知識を問う場ではありません。企業に対する知識を前提として、どのような考えをもって志望しているのかを聞きたいのですから、以下に燃料電池車や自動運転車について語ることができてもそれは本題ではありません。トヨタはよく言われるように「ムダを嫌う」会社ですので、余計なムダを作らないよう注意しましょう。
トヨタ自動車の志望動機の作り方
トヨタ自動車の志望動機の作り方をまとめてみます。
自己分析・企業研究
まずは自己分析をしながら自分がどうしてトヨタ自動車を志望するのか、また就活の中で大事にしたいことを言語化していきます。そして、企業研究で企業の特徴を掴み、自分のイメージと違いがないか、自分に合っているかを確認しましょう。
志望動機の核を定める
トヨタくらいの企業になれば、魅力的なポイントは非常にたくさんあるものです。その中でも自分が特に重要だと考えている核の部分についてよく考えて、簡潔な言葉にまとめてみましょう。
志望動機の深掘り・エピソード化
志望動機をメッセージにしたら、伝えたいことを深く考えてみます。そして、自分の経験や知識の中からエピソードを作成してみましょう。志望動機に繋がるエピソードであることはもちろん、具体的な内容になるように気をつけます。
どうして他の企業ではダメなのかを考える
大手の日本の自動車メーカーには、他にも日産やホンダ、マツダなどもあります。その中でどうしてトヨタなのか、他の企業ではダメなのか、その理由も考えてみましょう。志望動機がより深まっていくはずです。
自分が会社でやりたいこと。貢献したいことを述べる
就職活動は自分を会社に売り込む活動です。ただ会社に入りたいという気持ちだけでなく、会社や顧客に対してメリットを与えていくことが大切です。自分が会社でやりたいと考えていることや、貢献できることなどを伝えてアピールしましょう。
トヨタの志望動機の書き方での注意
トヨタの志望動機では書き方や表現に注意が必要なこともあります。
結論を先に述べるようにする
就職活動やビジネス文書では、結論を先にするようにします。先に結論を伝えることで、相手に核心が効率的に伝わるようにすることができます。
表記を統一する
面接など口頭の場面では違いは出ませんが、文字にした時にその表記に違いがある人も時々います。「トヨタ」「TOYOTA」「豊田」など、同じ書面の中で表記に違いが出ないように注意してください。また、法人名としての表記やブランドとしての表記など、固有名詞として使う場面には十分注意しましょう。クルマの車種を書く場合も同様です。
待遇の良さを志望理由にしない
トヨタは安定した企業というイメージがありますし、実際魅力的な募集要項が出ていますが、その待遇の良さを理由にした志望動機はほぼ評価されません。仕事そのものに興味と意欲があり、自動車に興味と意欲がある人材を求めているのであり、条件が良ければどこでも良いという人は求めていないと理解しましょう。
トヨタ自動車の志望動機は企業研究で深みを出そう
トヨタヘの志望動機では、しっかりと企業研究を行って内容に深みを持たせることが大切です。なまじ知っている知識があると、浅い理解や消費者目線のままに志望動機を書いてしまい、ありきたりな浅いものになりがちです。企業研究をしっかり行い、ポイントを確認しながら、トヨタという企業に合った志望動機を考えてみましょう。
自動車業界は、志望者に対して、常に最先端を行くマインドを持ち合わせているかを見ていることを忘れないようにしてください。